ハイブリッド車とエンジン車ではバッテリーの役割や寿命が異なります。
突然のバッテリートラブルに見舞われないためにも、ハイブリッド車のバッテリー交換時期について正しい知識を身につけておくと安心です。
本記事では、ハイブリッド車のバッテリーの寿命や交換時期の見極め方、長持ちさせる乗り方について解説します。
目次
1. ハイブリッド車のバッテリーの交換時期
ハイブリッド車のバッテリーの寿命や交換時期について解説します。
ハイブリッド車に搭載されている2種類のバッテリー
ハイブリッド車には2種類のバッテリーが搭載されています。
1つ目は駆動用メインバッテリーです。高電圧でモーター駆動やエンジン始動する役割を担います。車種により異なりますが、センターコンソール内など車両下部が搭載場所です。
2つ目は補機用バッテリーです。ハイブリッドシステムの起動やハイブリッドシステムが起動していない時の電装品への電力供給などを担います。エンジンルームに搭載されている車種もありますが、多くの車種でトランクルームや後部座席下に搭載されていますので、エンジン車のように自分で交換することは難しいでしょう。
ハイブリッド車のバッテリーの交換時期
ハイブリッド車の2つのバッテリーのうち、駆動用メインバッテリーは基本的に交換の必要はありません。
一方、補機用バッテリーはエンジン車と同じ12Vの鉛バッテリーのため、定期的な交換が必要です。大電流の放電が必要なエンジン始動の役割がないため、バッテリーへの負荷が小さくエンジン車のバッテリー(寿命2~3年)よりも長持ちしますが、3~5年で寿命を迎えます。
バッテリー上がりが起こると、ハイブリッドシステムが起動できず駆動用メインバッテリーに十分な容量があっても車を動かせなくなります。ハイブリッド車の補機用バッテリーは、定期的に交換しましょう。
2. ハイブリッド車のバッテリー交換時期の見極め方
補機用バッテリーの寿命が近づいているサインが分かれば、バッテリーの交換時期を判断できますが、ハイブリッド車では見極めが難しいとされています。
例えば、エンジン車ではパワーウィンドウの開閉が遅いなどのサインが出ますが、ハイブリッド車では駆動用メインバッテリーが電力供給しているため、ユーザーが予兆に気付くことなく寿命を迎えるケースが大半です。
寿命に気付かず補機用バッテリーが上がると、スマートキーが反応しなくなり、ドアやトランクルームを開けることも、ハイブリッドシステムを起動させ車を動かすこともできなくなります。
多くのハイブリッド車では、補機用バッテリーは車室内にあり、慣れていないと取り出しにくいです。また、こまめな点検が難しいので、一般的な寿命といわれる3~5年に1回を目安にカーディーラーや整備工場、バッテリー販売店などで交換を検討することをおすすめします。
3. ハイブリッド車のバッテリーを長持ちさせる乗り方
ハイブリッド車の補機用バッテリーを長持ちさせるには、1~2週間に1回は1時間以上走行し、充電するよう心がけましょう。
バッテリーを放電状態で長期間放置すると、充電しても以前の性能は発揮できなくなります。サルフェーションにより性能が低下する可能性もあります。
サルフェーションとは、極板の表面に硫酸鉛が結晶化する現象です。結晶化された硫酸鉛により極板と電解液の反応面積が減るため、充放電反応がしにくくなります。
充電不足のまま放置するとサルフェーションが進行するため、定期的な補充電や走行充電が大切です。
4. 突然のバッテリー上がりを防ぐには定期的な点検が大切
エンジンルームに開放式の補機用バッテリーが搭載されている車種もあります。この場合、液面点検をはじめとしたメンテナンスを自分で行うことが可能です。他にも、電槽に変形や破損、液漏れ、端子の緩みや腐食はないか確認してみましょう。余裕があれば、バッテリー販売店などでテスター点検や比重計点検などの内部点検を受ければ、突然のトラブル防止に繋がります。
一方、多くの車種で補機用バッテリーは車室内に搭載されており、VRLAタイプ(密閉されており補水用の液口栓がない)のため液面点検は不要です。また、取り出しにくい場所にあるため、テスター点検などが容易ではありません。
補機用バッテリーの寿命が3~5年であることを踏まえ、ハイブリッド車の突然のバッテリー上がりを防ぐためには、車検のタイミングで交換を検討されることをおすすめします。
5. まとめ
ハイブリッド車の2つのバッテリーのうち、駆動用メインバッテリーは基本的に交換不要ですが、補機用バッテリーは3~5年が寿命のため交換が必要です。
ハイブリッド車はエンジン車とは異なり、バッテリーの寿命が近づいているサインは見られず、寿命を見極めるのは難しいといわれています。突然のバッテリー上がりを防ぐために、カーディーラーや整備工場、バッテリー販売店等で定期点検を受け早めに交換しましょう。また、車検のタイミングで交換を検討することもおすすめです。