冬になると増える車のバッテリー上がり。特に、寒い地域に住んでいる方やこれから旅行などに行く方は不安に思うこともあるでしょう。
寒い時期にバッテリーが上がりやすくなる理由はいくつかあります。バッテリー上がりを防ぐために、原因と対策を知っておくと安心です。
この記事では、バッテリー上がりが冬に増える理由や未然に防ぐポイントをご紹介します。万が一、バッテリーが上がってしまった時のために、対処法も見ていきましょう。
目次
1. 車のバッテリーが上がる理由
車のエンジンがかからない時の主な原因は、バッテリー上がり、燃料不足、車両部品の故障の3つです。
バッテリー上がり
バッテリー上がりとは、バッテリーの過放電や劣化が原因でエンジンの始動に必要な電気が取り出せない状態のことです。
バッテリーの過放電は、以下のような理由で起こります。
- 半ドアやライトの消し忘れ
- 長期間(3週間以上)運転していない
- 電装品(エアコンやランプ、ドライブコーダーなど)の使用量の増加
- 端子の緩みによる接続不良
- バッテリーの寿命
車は使用していない時も、コンピュータ(ECU)やカーナビなどの電装品のバックアップ電源として、電気を常時5~10mA程度消費しています。エンジンが停止している間はバッテリーからの電気供給となるため、3週間以上乗らないだけで、バッテリー上がりを起こすことがあります(バッテリーサイズやバッテリーの充電状態、車載の電装品により異なります)。
また、渋滞によるノロノロ運転やアイドリング中は、駆動力が弱まることでオルタネータ(車の発電機)の発電量が落ちてしまいます。そのため、発電量よりも電装品の消費電力の方が上回ることでバッテリーからの持ち出しとなり、充電不足が続くことで知らず知らずの間に放電状態となっていることもあります。
また、バッテリーの寿命が近づくと、電気を貯めたり・取り出したりする力が低下しますので、バッテリー上がりを起こしやすくなります。
もし、バッテリーが上がってしまった時は、繰り返さないよう原因を特定しましょう。
2. 冬にバッテリーが上がりやすくなる理由
日本自動車連盟(JAF)がまとめた2021年度ロードサービス出動件数のデータを見ると、過放電バッテリー(バッテリー上がり)による出動件数は、冬にかけて増加する傾向があります。
※出典:「ロードサービス救援データ」(JAF)より当社作成
冬にバッテリーが上がりやすくなる理由を4つ紹介します。
バッテリーの容量が下がる
バッテリーは鉛の板(極板)とバッテリー液(電解液)に含まれる希硫酸が化学反応を起こすことで、電気を取り出す仕組みになっています。
化学反応は温度により左右されるので、バッテリーの容量は電解液温度によって大きく変化します。例えば、電解液温度が25℃の時は、バッテリーの容量は100%ありますが、0~10℃になると容量は80~90%にまで減ってしまいます。
バッテリーの充電効率が下がる
バッテリーの化学反応が鈍くなると、充電効率も低下します。
電気を取り出す時と同様に、電気を貯め込む時にも化学反応が起きていますので、電解液温度が低くなると化学反応が鈍くなり、充電されにくくなります。このため、充電効率が低下して充電不足気味となり、バッテリーが上がりやすくなります。
エンジンの始動に必要なエネルギーが増える
気温が下がるとエンジンオイルの粘度が高くなり、エンジン始動時の駆動抵抗が大きくなります。そのため、エンジン始動に必要な電気は夏で約90~120A、冬で約150~190Aと、冬は夏の約1.5倍必要になります。
電装品の使用量が増える
冬はヒーターが欠かせませんし、日照時間が短いためライトを使う時間も長くなるなど、電装品の使用量が増えるため放電量が多くなりがちです。
その一方で、バッテリーから電気を取り出したり、電気を貯め込む力が低下するため、過放電に繋がりバッテリーが上がりやすくなります。
3. 冬のバッテリー上がりを防ぐポイント
冬のバッテリー上がりを防ぐには、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
- 1~2週間に1回は1時間以上走行する
- 容量や充電受入性(充電効率)の高いバッテリーを使用する
- 定期的にバッテリー点検や交換を行う
過放電によるバッテリー上がりを防ぐためには、1~2週間に1回は1時間以上走行することが有効です。アイドリング中でもバッテリーは充電されますが、エンジンの回転数が低いため発電量はわずかですので、渋滞や信号待ちが少ない道路を走行しましょう。
発電した電気を短時間で効率的に蓄えられる、充電受入性(充電効率)の高いバッテリーへの交換も一つの有効策です。
また、バッテリーの寿命は2~3年です。バッテリーの寿命が違いと容量や充電受入性が低下しますので、バッテリー上がりの原因となります。バッテリー取扱店で定期的に点検を受け、トラブルが発生する前に、バッテリーの補充電または、バッテリーの交換をお勧めします。
4. 車のバッテリーが上がったときの対処法
冬はバッテリーの性能が下がりやすく、気を付けていてもバッテリーが上がりやすくなります。万が一、バッテリーが上がってしまった時は、下記の対処法を参考にしてください。
- 他の車から電気を分けてもらう(ジャンピングスタート)
- ロードサービスを利用する
素早く対処できるのは、ブースターケーブルで他の車から電気を分けてもらう方法です。ジャンピングスタートの具体的な方法は次の記事で詳しく解説しています。
契約しているロードサービスを利用することで、エンジンの応急始動作業をしてもらうことができます。ただし、ロードサービスが未契約だと思わぬ出費となったり、契約内容によっては、利用回数の制限がある場合があります。
バッテリー上がりを何度も繰り返す方は、車の使用状況の見直しや、バッテリーや車両の点検を検討してください。
5. まとめ
バッテリー上がりとは、バッテリーの過放電や内部劣化が原因でエンジンの始動に必要な電気が取り出せない状態のことです。
冬はバッテリーから電気を取り出す力や充電効率が下がる一方、エンジン始動に必要な電気や電装品の使用量が増えるため、充電と放電のバランスが崩れてバッテリーが上がりやすくなります。
冬のバッテリー上がりを防ぐために、定期的な長時間走行やバッテリー点検を心がけましょう。停車中は電装品の使用を控えめにすることも有効です。
バッテリーを上がりと起こすと大切な予定に遅れてしまったり、思わぬ出費が発生したり大きなストレスになります。バッテリーが上がりを起こす前に、バッテリーの点検と寿命前の予防交換をおすすめします。充電受入性の高いバッテリーへの交換もご検討ください。